2024年11月02日 金曜日
10月29日早朝の脳出血により救急搬送され即日入院した私は、2日目に言葉の発声練習を始め、3日目に一般病棟12Bへ移動した。
そして4日目から、3種類のリハビリが始まった。
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朝食後に看護師が、今日10時半からリハビリの予定が入ってますよと伝えに来た。待っていればいいですか、はいと。ついにリハビリが始まるのか。テレビドラマで時々出てくるシーンのような、歩く練習をするやつか。。。 時間通りに迎えのスタッフがやって来て車椅子に乗る。エレベーターでひとつ上の13階に到着すると、ST,PT,OTという文字と矢印が書いた貼り紙が目に留まった。
自分が働く業界〜システム屋の用語では、ST=システムテスト、PT=プログラムテスト、OT=運用テスト(オペレーションテスト)を思い浮かべるが、ここでの用語は違った。
ST=スピーチセラピー=言語療法
PT=フィジカルセラピー=理学療法
OT=オキュペーショナルセラピー=作業療法
なるほど!世界が変われば用語も変わる。これからしばらく、STはシステムテストじゃなくスピーチセラピーだ。
小さな病院の診察室のような部屋に、さらに小さな小部屋が2つ並んでいた、そのうち「ST室1」と書かれた小部屋に入ると、中にいたのは数日前SCUで私の発声能力をチェックしてくれた「マキさん」だった。おはよう。テーブルを挟んで、向き合って座った。間にはコロナウイルスで飛沫防止用のアクリル板がある。
「嚥下体操やってる?パタカラやった?」あ〜、ベッドでやってますよ。パパパパ、タタタタ、カカカカ、ララララ、パタカラ、パタカラ・・・言えるでしょ
(あの、老人ホームの人々が誤嚥防止のためにやるような口の運動すね。つまんないけど・・・)
彼女の手元に目をやると、読ませるための日本語の文章と、その横にアルファベットとは異なる、「発音記号」が書かれたテキストが目に留まった。
「それって・・・国際発音記号じゃない?」
彼女はえ〜っ、よく知ってるわねえ〜!と驚いた。正しくは「国際音声記号」というのか。英語で発音の仕方を学ぶのに発音記号が使われるけれども、あれの世界標準版で、英語だろうが日本語だろうが、人間が発する言葉を記号で表現できるやつ=まさに発音記号、である。
その後、彼女は文章を読み上げ、それを繰り返すように指示した。リピート アフター ミー。「電車が走る」「朝起きて歯磨きをする」「サファリパークでライオンを見ます」「友達から旅行の手土産をもらった」のようなものだ。
苦手な、というよりスムーズに発音ができない部分は、自分でもハッキリわかった。
「ら行」だ。らりるれろ。喉がカラカラですの「ラ」や、周りをキョロキョロ見る「ロ」の発音が怪しく、「日本語学習中の欧米人」のような発音になる。
マトモにしゃべれる(ら抜き言葉)ためには、練習しないといけないようだ。日本人が行う50代からの日本語学習か(笑)「マキ先生」は宿題を出すからやっといてね、と宣言して、20分ほどで初めての言語リハビリが終わった。
車椅子はST室を出て、次の部屋に案内された。OT、、、作業療法だ。
(続く)
脳卒中からのリハビリを支える仕事(1)言語聴覚士
このブログは現在、2024年10月に脳出血を発症した私の振り返り、経験、病歴とリハビリ過程を綴る日記となっております。ストーリーはようやく、リハビリの開始に辿り着きました。
脳卒中で、呂律が回らない状態に陥った自分には、発声、発話に多少の障害が残りました。「フツーの人」として言葉をしゃべるためのリハビリが必要、それが言語療法(ST: Speech Therapy)ということになります。そのためのセラピストが「言語聴覚士」
日本言語聴覚士協会のWebサイトでは、言語聴覚士の仕事が紹介されています。
ことばによるコミュニケーションには言語、聴覚、発声・発音、認知などの各機能が関係していますが、病気や交通事故、発達上の問題などでこのような機能が損なわれることがあります。言語聴覚士はことばによるコミュニケーションに問題がある方に専門的サービスを提供し、自分らしい生活を構築できるよう支援する専門職です。また、摂食・嚥下の問題にも専門的に対応します。
ことばによるコミュニケーションの問題は失語症や高次脳機能障害の他、聴覚障害、ことばの発達の遅れ、声や発音の障害など多岐に渡り、小児から高齢者まで幅広く現れます。言語聴覚士はこのような問題の本質や発現メカニズムを明らかにし、対処法を見出すために検査・評価を実施し、必要に応じて訓練、指導、助言、その他の援助を行います。
このような活動は医師・歯科医師・看護師・理学療法士・作業療法士などの医療専門職、ケースワーカー・介護福祉士・介護支援専門員などの保健・介護・福祉専門職、教員、心理専門職などと連携し、チームの一員として行います。
言語聴覚士は医療・介護・福祉・保健・教育など幅広い領域で活動し、コミュニケーションの面から豊かな生活が送れるよう、ことばや聴こえに問題をもつ方とご家族を支援します。
言語聴覚士は1997年に国家資格として制定されたとのこと。言語聴覚士になるには国家試験に合格して厚生労働大臣から免許を受けることになります。
日本脳卒中協会というところで、言語リハビリの解説を動画にして出しています。(第5部 自宅でできる言語聴覚療法)